dependence. > text > ひみつのおてがみ
「入江くん入江くん!」
「?」
「か、か、鞄の中に見たことない変な手紙が入っててっ……。気持ち悪いから開けてくれない」
「いやだ」
「そこをなんとか!」
「まあラブレターじゃないのっ!ハートマークで封がしてあるわよっ!ほんとお兄ちゃんがダラダラしてるから」
「俺には関係ないだろ。まさか……、またお袋と琴子の作戦じゃねーだろうな」
「違うわよっ」
「お兄ちゃん、それは失礼よっ」
「……開ければいんだろ」
「う、うん!お願いしますっ」
「きゃあ、やっぱりお兄ちゃんは琴子ちゃんには優しいのね」
「えへへ」
「……」
「○○教授へ……?いつも為になる抗議をありがとうございます……?いつも真剣に聞いてましたが、テストがさっぱりわかりませんでした……なんだこれ、あははは!」
「あっ、あたしが教授に書いた手紙だ!入江くん返して!」
「……教授の授業はいつも素晴らしいです。どうか単位を下さい。よろしくお願いします。よかったら裏に書いた美味しいカレーの作り方を試してみてください。……相原琴子」
「きゃああああ」
「琴子ちゃん……」
「あ、学食のチケットが入ってる。250円の竜田揚げ丼無料券……一枚……」
「一枚なのね……」
「お前は……今時カレーの作り方やお歳暮で釣るようなバカなこと考えずにさっさと追試の勉強しろ!」
「……せっかく金ちゃんに作ってもらったのに!」
「こ、琴子ちゃん……」
「いいこと教えてやる。そこの文字、間違ってるぞ」
「えっどこどこ」
「……琴子ちゃん、追試のお勉強用にお夜食作ってくるわねっ」
「入江くーん!どの文字が違うのおー!?」
了
2009年6月10日ブログ掲載、2009年7月19日再掲載