dependence. > text > 入江家な人々
「あ、洗いものしししますよ!おおおおかばさまっ」
「?」
「?」
「バカ琴子、いい加減慣れろよ」
「こら裕樹!いいのよ琴子ちゃん!お好きに呼んでちょうだいな。まだハネムーンから帰って来たばかりですもの」
「ありがとうございます!おおおおおばかさまっ」
「…」
「…」
「奥さん、そうそう、構えかたお上手!」
「あら、そうかしら!?」
「きゃはー」(パシャ)
「ちなみに息子さんの誕生日は由美かおると一緒、お嫁さんは吹石一恵と一緒」
「きゃはー!やだもう〜!」
(…あまり役に立たなそうなカメラ教室ね…)「こんなかんじかしら」
「奥さん、筋いいですよ!ちなみに奥さんの誕生日は…」
「きゃはー!」(パシャ)
「でね、そのときじんこが〜」
「…」
「入江くん?疲れたの?眠いの?それとも風邪?!」
「…いや」
「考え事?」
「こち亀が…」
「?」
「増えすぎて、後一冊買うと棚のスペースがなくなる」
「…」
「棚増やすか…」
「…」
「もう!入江くんなんか知らないっ」
「…」
「もう口利かないんだからっ」
「ち…」
「知らない知らないっ」
「聞いといたほうがいいぞ」
「…え?」
「ワンピースの後ろのチャック、全開なのは、そういうファッション?」
「きゃー!バカバカバカ!締めて入江くんっ」
「もう口利かねーんじゃねーの」
「やーん!入江くんのいじわるっ」
「髪伸びたな、切ってくるわ」
「ひょっとしていつもの美容院?」
「そうだけど」
「やっぱり…入江くん、おしゃれでかわいい美容師さんに会いたいからいつもおんなじ所に行くんでしょっ」
「…昔から行ってる、じーさんがやってる理髪店だよ。ヒゲ剃りうまいから行ってるだけ」
「エッ、ああそうなんだ!いや、あの信じてなかったわけしゃないの!聞いてみただけなの!ほほほんとに」
「…ふーん…」
「タモリ来たよママ!」
「夕刊取って来てくれてありがとう、みーちゃん」
「おばあちゃんは?」
「お部屋よ」
「そうなんだ!おばーちゃーん」
「…琴子」
「何?入江くん」
「タモリって…」
「ああ、「夕刊」っていう文字、「タモリ」に似てるじゃない?だからじゃないかしら」
「おばーちゃーん!今日のタモリ、あつくて、でもちゃんと抜いたよ!」
「抜いた!?タモリが熱い!?」
「ああ、ポストから引き抜くのってみーちゃんには一苦労なのよ。今日は厚くて、きっと広告が入ってたのね」
「…正しい名前、教えてくる」
「入江〜、久しぶりだな」
「よう。まあな、会社もカタついたし」
「で、で、でだ!ハネムーンはどうだったんだよ」
「そうだよ聞かせろよ!琴子ちゃんって案外スタイルよさそうだしよー」
「はあ?なにいってんだ」
「後学のためにもさー」
「後学か。性行為とは、勃起した男性器(陰茎)を女性器(膣)に挿入する行為をにより、膣壁と亀頭・陰茎が互いに摩擦し合い、男女とも快感が強まり、性的に興奮する。 やはり夫婦となってからの性行為は、精神的にも満たされるよな。挿入後に陰茎、特に亀頭を前後に動かすと、膣の周りの筋肉が収縮することで互いの性器により強い官能的刺激が加わり…」
「…もういいです」
「入江くん、小さい頃どんなテレビ見てたの?」
「世界遺産」
「ええ〜あたしはね、何て言ったってドリフ!」
「ふーん」
「カトチャのちょっとだけよ〜とかあんたも好きね〜とか、ホントに知らない?」
「あとは?」
「いっちょめいっちょめワオ!」
「最初のやつのほうが良かったな」
「良かったって?」
「響きと動きが」
「?どっちも面白かったのに」
「最初の、もう一度」
「ん?…ちょっとだけよ〜、あんたも好きね〜」
「…寝るぞ」
「…あっ」
「入江〜、子供の写メ見せてくれよ」
「なんですか西垣先生、薮から棒に」
「生まれて一ヶ月くらいだろ?待受にしちゃってたりして。クールな入江大先生がね〜プププ」
「写メなんか撮ってないですよ」
「またまた〜」
「パソコンにデジカメで撮った写真が1500枚ほどありますけど…見ますか?」
「…いやいい、遠慮しておくよ」
「入江くん、一万年と二千年前から愛してるって曲知ってる?」
「知らない」
「ちょっと前に流行ったアニメの曲らしいんだけど」
「ふーん」
「決めゼリフが確かあなたと合体したい」
「は?」
「あなたと合体したい」
「もう一度」
「…あなたと合体したい?」
「もう一度」
「あなたと合体したい」
「…寝るぞ」
「…あっ」
了
2008年9月30日
拍手のお礼としてあげていたものを12/3付けでおろしました。