dependence. > 先生! > ●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より-見つめ合った一呼吸後(高校)
「……島田」
「なに?先生」
先生の隣でテレビを見ていると、先生は私の顔を覗き込んできた。探るように瞳が潤んでいる。
「キスしていい?」
「なっ、なに突然……!」
先生はいつも不意打ちで唇を重ねてくる。こうして許可を求められるのは初めてのことで、思わず手のひらで顔をガードして下を向いた。
「だめ?」
「……い、いいよ」
顔を下げたまま呟くと、先生は私の手をゆっくりと避けた。髪に手を入れられて上を向かされる。自然と目が合って気恥ずかしい。先生は目を細めて笑うと、目をつぶる暇もないほどの速さで音を立てて口づけた。心許なくてシャツをぎゅっと握ると、先生はそれを合図にするかのように、今度は深く唇を割ってきた。角度を変えられるたびに胸が苦しくて、もぐりこんでくる舌が強さを増すたびに呼吸が苦しくなる。やっと開放されて肩で息をしていると、先生は私の頭をポンポンと撫でてタバコを手に取った。強引できまぐれで、弱くてずるい。でも……。
「先生……?」
「なに」
「なんか……、好きだなぁと思って」
「……あー、お前本当に早く卒業しないかな……」
先生はテレビ画面を見つめて呟き、煙を吐き出した。
了
2010年6月12日