dependence. > 先生! > ●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より-強く抱きしめながら(短大)

●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より

強く抱きしめながら(短大)

「今日は楽しかったです!」

 家の近くで車を停めてもらい、私は横を向いて笑った。先生とのドライブは楽しくてあっという間に時間が過ぎ去ってしまう。

「ん、よかった」
「じゃあ先生、また……わっ」

 シートベルトに手をかけたとき、先生の長い腕が私を強く抱きしめてきて、顔を胸にうずめる格好になってしまった。

「先生……」

 胸に耳を押し付けていると、先生の心臓の音が聞こえる。息を吸いこむと、タバコの香りと、「先生と生徒」の時には気づかなかった「男の人」のにおいを強く感じる。背中に手を回して顔をうずめ、もう一度深呼吸してみる。「先生の香り」にはいつもうっとりとさせられて、私は異次元へと連れて行かれる。思考回路を停止させられる。私にしか効かないフェロモンのような、嗅ぐだけですがりつきたくなる魔法の香り。目を閉じて香りに包まれていると、さらに強く背中を引き寄せられて、はずみで顎が上がってしまう。目を開けると先生の顔が近づいてきて唇に吐息がかかる。私はもう一度目を閉じて「また会うためのさよならのキス」を待った。

2010年6月16日

web拍手 by FC2

▲go to top

inserted by FC2 system