dependence. > 先生! > ●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より-ガラス越しに(短大〜)

●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より

ガラス越しに(短大〜)

 安さには惹かれるけれど、今日は贅沢感を味わいたいとフルサービスのガソリンスタンドに寄った。灰皿に溜まるだけ溜まった吸殻を変えてもらい車内を濡れたタオルで拭く。

「あ、先生私も拭くよ」
「じゃ、そっち拭いといて」

 響は助手席付近を力を込めてこすった後、タオルの裏を見て目をまん丸にして俺を見た。

「なに?」
「なんでこんなに茶色いの?」
「あー、タバコ吸うからな、ヤニだヤニ」

 響は「ヤニ……」と呟いた後、弾かれたように俺の服を掴んできた。

「じゃあ窓とかも汚れてる?」
「多少な」
「身体に害とかない……よね?」
「いや、あるだろうそれは」
「さっきね、窓に反射した先生の顔にキスしちゃった……」
「なんだそれ」

 握り締めたままのタオルを奪って横目で響を伺うと、口を開けては閉じ、考え込んではうなっている。

「なるべくそっちに煙が行かないようにしてるから大丈夫じゃねぇの?」

 勢いよく顔を上げた響の唇をすばやく奪って頭を撫でる。

「せっ……!」
「失礼しまーす、満タン入りましたー」
「じゃこれで」

 なにか言いたげな響をそのままに、俺は上機嫌でウインカーを上げた。

2010年6月24日

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