dependence.>text>お題でイタキス >004 : 枕

004 : 枕

「あ…えっと、布団、敷いてあるんだね、あはは」

「当たり前だろ」

源泉かけ流しの、極上の温泉は本当に気持ちが良かった。

その調子で二人揃いの浴衣を着て、夜の温泉街を散歩した後部屋で待ちうけていたのは、ぴったりとくっつけられた布団が二組。

正真正銘の二人旅。

「ああああの、テレビ付けよっか」

「何緊張してんの」

いまさら、といった風で、直樹はどかどかと布団の上を横断し、窓際の椅子に腰かけた。

テレビをつまらなさそうに眺める直樹と対照的に、琴子はいつもと同じように右側で寝て良いのか、そればかりをそわそわと考えていた。

2009年1月20日

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