dependence. > text >●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より-奪い合うように

●キスのシチュエーションで20題(その1、2)より

奪い合うように

 部屋のドアを閉めてすぐ、俺たちはどちらからともなく抱き合い、互いの唇の感触に酔っていた。身体をまさぐるのももどかしくてベッドに押し倒して唇をついばむ。何度も音を立てて吸い付き見下ろすと、琴子は琴子は頬を赤らめてゆっくりと目を開けた。

「お前いつも目閉じてるよな」
「だだだって……恥ずかしいっていうか照れるっていうか」
「目開けとけよ」

 俺は琴子の瞳を見つめたまま、顔を傾けて食べつくすように唇を覆った。琴子は言ったとおり目を開けて、俺の舌を味わうように強引に絡めとり、ゆるゆると吸う。ゆっくり瞬きされる潤んだ瞳の向こうに浮かぶ欲の塊を早く自分のものにしたくて、俺は強く舌を吸って唇を離した。

「いつもより、興奮する?」
「そそそそんなことないもんっ」
「ふぅん」

 耳元にわざと音を立ててキスをすると、琴子は俺の頭をかき抱いて、うっとりとため息を漏らした。いつもと違う夜がはじまる気がしていた。

 

 

2010/06/11up

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